積水極むべからず

漢文、ときどき読書

2014-01-01から1年間の記事一覧

娘子軍

平陽公主という人がいます。李淵の三女、李世民の同母姉に当たるこの人は、隋末の争乱期に軍を率いて武勲を挙げたという本物の「戦うお姫様」だったりします。 李淵が挙兵したとき、既に嫁いでいた彼女は夫、柴紹とともに長安にいました。長安は当時はまだ隋…

石見清裕『唐代の国際関係』

唐代の国際関係 (世界史リブレット) 作者: 石見清裕 出版社/メーカー: 山川出版社 発売日: 2009/05 メディア: 単行本 クリック: 2回 この商品を含むブログ (5件) を見る 「つまり唐の統一とは、中国の統一というよりはむしろモンゴリア南部と華北で形成され…

7月まとめ

2014年7月の読書メーター読んだ本の数:5冊読んだページ数:1273ページナイス数:70ナイス唐代の国際関係 (世界史リブレット)の感想「つまり唐の統一とは、中国の統一というよりはむしろモンゴリア南部と華北で形成される地帯の統一なのであり、その力が長江…

光武帝への思慕

李世民は歴代皇帝の中でも特に歴史を愛好し研究した人。前代の君主、リーダーに対していろいろ批評を加えています。その中で数少ないプラス評価(と思われる)人が後漢の光武帝です。 「赤心を推して人の腹中に置く」というのは、光武帝が直前まで敵であった…

玄甲軍

李世民は即位する前、優れた将軍、唐朝の遠征司令官として大活躍します。強力な騎馬親衛隊を絶妙なタイミングで投入(というか自ら率いて突撃)する戦法を得意として勝ちを収めていました。『資治通鑑』によるとその勝利の決定打となる親衛隊は「玄甲軍」(…

李靖と魏徴への敬意

『隋唐嘉話』*1という唐代の歴史家がまとめた書物に李靖と魏徴と李世民の関係に関する面白い逸話が載っています。 世民は李靖とくつろいだ様子で(私的に)会う時には、常に李靖を「兄」と呼んで臣下として扱わなかった。帝位に即いてからは、魏徴と語り合う…

詔書の偽造と社会不安

太原に挙兵するに当たり、李淵は社会不安を煽るために煬帝名義のひどい内容の詔書を偽造して社会不安を煽りました。 「周辺の二十歳~五十歳までの全男子を徴兵し、高句麗討伐に動員するというもの。この詔書を受けた周辺住民は当然、隋に対する怒りをかき立…

李世民と長孫皇后

「創世の龍」に長孫皇后が出てきた記念とういことで、李世民とその正妻の長孫皇后がいかにらぶらぶだったかについて語ろうと思います。『旧唐書』と『新唐書』によると、李世民には十四人の息子と二十一人の娘がいて、「おお…子だくさん……」って感じなのです…