積水極むべからず

漢文、ときどき読書

詔書の偽造と社会不安

 太原に挙兵するに当たり、李淵は社会不安を煽るために煬帝名義のひどい内容の詔書を偽造して社会不安を煽りました。

「周辺の二十歳~五十歳までの全男子を徴兵し、高句麗討伐に動員するというもの。この詔書を受けた周辺住民は当然、隋に対する怒りをかき立てられます。反隋思想が蔓延し、反乱を思う人が増えていったとのこと。

 いつの時代もデマや嘘を流して、市民をだまし都合の良い世論をつくる戦術って会ったんだな~と世知辛いものを覚えます。情報戦と民心掌握戦術ってこういうものなんですね。

 ツイッターのフォロワー様から教えていただいたことによると、後の時代も前の時代もこういう事はあったそうですが、詔書の偽造には苦労したみたい。この時李淵は太原留守という大官にあったので詔書の偽造も思いのままだったんでしょう。目的のためなら手段を選ばない李家の狡猾な手口を見ると、さすが一説には黄巾の乱以上と言われた隋末の混乱期をあっさり10年足らずで治めちゃう人たちだなあと思います。

史料は以下。

「(李)淵乃使文静詐為敕書、發太原・西河・雁門・馬邑民年二十已上五十已下悉為兵、期歲暮集涿郡、擊高麗。由是人情恟恟、思乱者益衆」

「(李)淵 乃ち(劉)文静をして詐りて勅書を為(作)らしめ、太原・西河・雁門・馬邑の民、年二十已上五十已以下悉く兵と為し、歳暮を期して涿郡に集め、高麗を撃たんと發す。是に由りて人情 恟恟とし、乱を思う者、益ます衆し」